~在宅歯科訪問診療の現実~現役訪問歯科衛生士からの目線
こんばんは(^^♪
もうすぐ、桜の季節がやってきますね~。
今年はコロナウイルスの影響でお花見や宴会などは難しそうですね( 一一)
今日は
~在宅訪問診療の現実~現役訪問歯科衛生士からの目線
をお話ししていきます。
在宅の口腔ケアに興味はあるけど、どんな感じなのか分からなくて不安という方に向けて、少しでも掴んでもらえるように書いてみました!!
興味のある方はぜひ 読んで下さい。
[目次]
①訪問口腔ケアを始めた頃のお話し
・家族と何話したら良いか悩む・世間話が苦手な人は大変だぞの巻---
・洗面所の場所探すの巻
・気苦労、半端ないと思ったの巻ww
⓶認知症の方への訪問口腔ケア
・訪問したら、下半身丸出しに遭遇の巻 ( ゚Д゚)
・訪問したら次から次へと関係ないこと頼まれるの巻
③多系統萎縮症の方の訪問口腔ケア
・訪問したら食べ物で溺れかけてる。窒息しますよ~の巻(;^ω^)
⑤不衛生な環境での口腔ケア
・玄関での口腔ケアなんて朝飯前の巻
⑥利用者さんも色々
・高齢者だって、まだまだ色恋ありますよの巻
- ぴあすのまとめ ←是非、読んで下さい。
・歯科衛生士の仕事を最大限に活かせる
・自分の将来について真剣に考えるようになった
・介護保険制度の知識も身に付く
・再就職にはもってこい
を細かく話していきますね(^^)/
訪問口腔ケアを始めた頃のお話し
家族と何話したら良いか悩む・世間話が苦手な人は大変だぞ~の巻
訪問診療を始めた頃、利用者さんやその家族と何をどう話して良いか分からなかった。
歯科に関する事は勉強してきたので、話す事はできるんですが世間話がね~。
私の医院の訪問診療の主任はコミニケーション能力が高い。どちらかというと私は低いww
訪問診療に向いてるとは言い難い性格をしていますw
勢いで『訪問口腔ケアを始めたい』と言った言い出しっぺなので、
院長の手前 引き下がれなかったんですww
結果、運よく今もなんとか続けられてますww
私みたいに、世間話が苦手な人はとりあえず利用者さんやご家族を褒める事から始めるといいかもしれません。褒められて嫌な人は少ないと思います。
『○○さん、お肌綺麗やね~。吉永小百合みたいやな~』
『お口も綺麗になって、八千草薫になったな』などと言うと、恥ずかしそうにしながらも嬉しそうにされる方が多いように感じます。
吉永小百合さんと八千草薫さんは凄い方なんだと感じます!!
また、訪問に行くと利用者さんからよく聞くセリフが‥‥
『もう、歯や綺麗にしても先も短いしな~』とか
『そろそろ、お迎えがきとるわ』などと言われます。
このセリフの返しは最初の頃悩んだんですよね~(;^ω^)
今では『もう、歯や綺麗にしても先も短いしな~』の返しは
『お肌もピチピチやし、歯も綺麗にしてきっと寿命も延びたわぁ~』と返します。
また、『そろそろ、お迎えがきとるわ』とか言われたら
ノリの良い人には『お迎えは追い払っといたよ~』とか
『そんだけ喋れとったら、まだまだお迎えは来そうにないわ』とか返せるようになりました。
私みたいにお喋り苦手な人間でも、利用者さんとのお喋りするのが楽しくなってきています♪
洗面所の場所探す
口腔ケアをする時に大事なのは洗面所なんですよね。
入れ歯を洗ったり、水を汲んだりするのに必要なので1番最初にどこにあるのか?
また、洗面所に入って良いか聞きます。
*洗面所って洗濯物やら他にも色々と置いてあるので入られるのを嫌がる人も多いんですよね。
必ず、『洗面所に入らせて頂いて大丈夫ですか?』と声をかけさせて頂きます。
難しそうな場合は家族の方に入れ歯の洗い方を指導して洗ってきて貰ったり、
ペットボトルの中に水を準備して貰ったりしています。
受け皿(うがい受け皿・ガーグルベースン)なども置いて頂けると助かります。
洗面器でも大丈夫です(^^)/ 要望になっとるww
気苦労半端ないと思ったの巻
やはり、人様のお家に入らせて頂くのは気を使います。
全然っという方もいるかも知れませんが、、、
治療になると、入れ歯を削った時に出る粉が飛んだり抜歯の時は布団などに血がつかないように気をつけています。
その為、新聞紙は必須です。
粉が飛ぶ作業の時は新聞紙の上で作業して最後にクルクル丸めて持って帰るようにしています。
他にも、
高齢者の方でベット周りの物を動かされるのをとても嫌がる方が結構います。
治療中は物をのけてもらうようにお願しますが、帰る時は元の状態に戻して帰るように気をつけています。
『もう、来られたくないっ』と思われてしまうと、口腔ケアが継続できません。
小さいことのように思うかもしれませんが、
気持ちよく口腔ケアをさせて頂くには大切な事だと思っています。
治療やケア以外にも気を配らなければならない所が沢山あるので、
気苦労半端ないってよ。(どっかできいたセリフのような) と言いたかったのですww
認知症の方への訪問口腔ケア
訪問したら、下半身丸出しに遭遇の巻
在宅訪問でのお話し。
老々介護の夫婦がいました。
奥さんの方が認知症でオムツをつけるのを拒否していました。
玄関に入ると『誰かきて~』っと呼ぶ声が‥
急いで、部屋に入るとベットの横にある簡易便器に座って下半身は隠すこともなく丸出しの状態。
旦那さんは不在でした。便器の上から動けなくなっていたようです。
どのくらい座ってたんだろう・・・
パンツとズボンをはかせてあげて、ベットに移動してもらいました。
訪問診療ってたまにこういう事もします。不慣れではあります(^^;)
訪問したら次から次へと関係ないこと頼まれるの巻
訪問したら、何度言っても口腔ケアで来たということを忘れてしまう人がいます。なので、口腔ケアがすすまない。 ケアまでたどりつかない‥。
もちろん『歯のお掃除にきましたよ~』と伝えますが、次から次へと色んなことを頼まれちゃいます。
『あの台こっちに持ってきて』とか
『郵便物とってきてとか』ww
出来る範囲ではしていますが、怒らせない程度に柔らかく断りましょうね~。
訪問診療では、あるあるのお話ですよね。
多系統萎縮症の方への訪問口腔ケア
訪問したら食べ物で溺れかけてる。窒息しますよ~の巻
多系統萎縮症の利用者さんの口腔ケアに長年行かせて頂きました。
そもそも多系統萎縮症ってどんな病気って?
↓
多系統萎縮症とは、非遺伝性(後天性)な脊髄小脳変性症の代表的な疾患で、発症原因やそのメカニズムは、まだ分かっていません。
脳内にある中枢神経細胞にふくまれるグリア細胞(神経の伝達などを行う細胞)のうち、オリゴデンドログリアとよばれる細胞に異常をきたしています。
オリゴデンドログリアは、神経細胞の外側を覆う軸索を作り出す働きがありますが、この働きに異常をきたすため、神経の伝達機能に異常をきたします。
かつて多系統萎縮症は、パーキンソニズムを主症状とする線条体黒質変性症(SND)、小脳失調症を主症状とするオリーブ橋小脳変性症(OPCA)、自律神経症状を主症状とするシャイ・ドレーガー症候群(SDS)、の、3つの疾患があると考えられていましたが、近年の研究により、同じ疾患の症状の現れ方の違いであることが分かり、2003年 (平成15年)より多系統萎縮症に統合されました。
難しいぞーー!!
難しい病気です・難病です。
有名人でいうと西城秀樹さんがこの病気にかかっていたそうです。
病気が進行してくると、嚥下も難しくなってくる病気です。
ですが、
家族の希望は最後まで口から食べさせること。
経鼻経管栄養や胃瘻は絶対しないでした。
主に旦那さんが介護をしていたのですが、症状が悪化しはじめると、物が飲み込みきれていない状態がよくあり冷や汗をかいた時もありました。
口腔ケアを始める前に咽頭に溜まってる食べ物を除去する事から始まり、旦那さんには窒息するから入れ過ぎないようにとよくお話ししていました。
でも、守ってくれない(^^;) チーン
色んな職種の方から注意をされていたそうですが‥夫婦のことなので、これ以上は口出しできませんでした。
結果、最後の最後までお口で食事をされました。
不衛生な環境での口腔ケア
玄関での口腔ケアなんて朝飯前の巻
訪問させてもらうと、お家にあげてくれない‥‥
『部屋が汚れてるので、玄関でお願いします』と言われる事がまぁまぁあります。
もう、慣れましたが最初の頃は‥
『えーーっ』ここでするのーー( ;∀;)
『マジかっ』と思ったものです。
利用者さんには足が悪くてお掃除が行き届かない人、目が悪い人など色々います。
近くに物を沢山置くようになるので、お部屋は汚れがちな人もいます。
玄関でケアや治療をする時は、夏は暑くて汗ビショビショだし、冬は超寒いww
正直、大変な時もあります‥。
こういうい場合はまず、
治療の場合は利用者さんや歯科医師がしんどくないように、
利用者さんの体位や機械の配置場所などを素早く考えます。
延長コードも必須アイテムです!!
また、手早く出来るように気を配っています。
治療となると、歯科の訪問診療は物が多くなりがちです。
機械がないと歯が削れませんしねー。
他にも部屋中が猫だらけだったり、
1畳もないスペースで診療することもありました。
持参のスリッパも靴下が汚れず便利ですよ~。
利用者さんも色々
高齢者だって、まだまだ色恋ありますよの巻
以前、少しイケメン気味wの歯科医師と訪問診療をしていました。
女性の利用者さんだったんですが、あの先生にずっと診て貰いたいと言われたことがあります。
1人や2人ではありません。
『アポイントの都合で次は女の先生になります』と伝えると
『ほな、次はええわっ』とはっきり断るや~ん。
何歳になっても、イケメンの人気は高いww
反対に男性の利用者さんには若い歯科衛生士が人気です。
若いと言ってもみんな30overですが、高齢者からみれば”ひよっこ”です。
それで口腔ケアを継続できて、美味しく食事できるならありかなと思っています♪
訪問診療は順応性や工夫が大切ですね。
ぴあすのまとめ
私が今まで訪問診療をしてきて、こんな利用者さんがいましたよ~というのを少しご紹介してみました。
まだまだ、書ききれませんが(;^ω^)
どうですか?
大変そうに思いましたか?
大変そうな事ばかりのように感じたかもしれませんが、
私は訪問診療をして、本当に良かったなぁと思っています。
歯科衛生士の仕事を最大限に活かせる!
お口の中が不衛生な利用者さんはまだまだ沢山います。
私が『何でも美味しく、ご飯食べれてる?痛い所とかないですか?』と聞くと
利用者さんが『うん、何でも食べれて美味しいわぁ』と言ってくれます。
私、この言葉を聞くのが凄く嬉しいんですよね( *´艸`)マニアックかもw
歯科衛生士冥利に尽きるといいますか、私達の口腔ケアが入り始めてからずっと維持できてる方が沢山います。
おかげさまで、私の勤める医院では口腔ケア率が70%を超えています。地方の割には頑張ってる方と思いますww
なので
食事形態もほとんど変えず自分の口から食事がとれてる。
やりがいを感じずにはいられないww
利用者さんにとって食事の楽しみって、凄く大切なんですよね(*^-^*)
自分の将来について真剣に考えるようになった
スタッフ間で、よく話すようになったことがあります。
自分が高齢者になった時の話をよくします。
子供さんがいる方は‥
『自分がこうなったら、こうして欲しい』という事を
子供にきちんと伝えておこうと言ってる訪問歯科衛生士が多くなりました。
医院内で働いていると
イマイチ、今の介護の現状がよくわからない方の方が多いと思います。
でも、訪問診療をしていると今の介護の現状がダイレクトに分かります。
早い段階で、備えておくことができるなぁと感じました。
介護保険制度の知識も身に付く
結婚されてて親の将来が心配な方や親の介護が目前の方もいると思います。
訪問診療をしていると、嫌でも介護制度の知識が身に付きます。
知らないと、ケアマネージャーさんと話しにくいぞ~!
利用者さんの家族から、『そんな事もできるのかぁ・知らなかったぁ』と
言われる方が時々います。
ケアマネージャーさんがいるじゃんって方もいるかも知れませんが、手厚い方・そこそこの方と色々なケアマネさんがいます(;^ω^)どこも一緒です。
ケアマネージャーさんの力量には差があります。
また、沢山の利用者さんを受け持っているケアマネージャーはすごく忙しい!
介護制度の知識は身につ付けておいて、絶対に損ありませんよ~!
実際、私も祖母が入院した時にとても役にたちました。
ですが、実際は介護保険が絡んでくると書類も多くなります。まだまだ、院内の業務と訪問診療を掛け持ちしている歯科衛生士は多いんではないでしょうか?
私も訪問診療がメインになるまでは掛け持ちがとても大変でした。そして、大変さも理解して貰えないw書類の多さに、院長からグダグダ言われることもありました。
業務の簡素化は大切ですが、なかなか難しいです。
工夫が大切です。簡単にできたらやっとるわっ
私、途中で思ったんです
やらされていると思うとしんどい。
自分の将来の為にしていると思うようにしました!
かっこつけてるーーーww
もちろん、高齢者の方の為に訪問診療に行きますが、
業務が大変になってくるとモチベーションも下がってきます。
これは、自分が将来に備えて勉強してるんだと思うようにしています。
色々と言ってくる人はいますが、言いたい人には言わせとけですww
再就職にはもってこい
子育て中の方で、パートで復職したいけど院内のスタッフは若い人が多いしブランクもあって不安だなって方もいるかと思います。
個人的にですが、高齢者の方の中には若い歯科衛生士に口腔ケアされるのを嫌がる人もいます。
そこそこ人生を渡り歩いてきた人の方が向いてると思います。
私も子育て中の訪問歯科衛生士さんには、勉強させられることがよくあります。
まず、高齢者とのおしゃべりが上手♪♪高齢者の気持ちを盛り上げるのも指導も上手い!!
私は完全に完敗です。
また、医院にもよるかも知れませんが時間の融通が利きやすいですね(^^)/
訪問診療はインプラントのように花形ではありませんが、生きてる人はいずれ必ず通らないと行けない場所で必要とされるお仕事です。私の言葉が至らないので、大変そうだなと感じてしまった人もいるかも知れませんが、やりがいのある仕事だと私は言い切れます!!
是非、
再就職には訪問診療を選んでくれる歯科衛生士さんが増えるいいなぁと思っています。
今日も読んで頂き、ありがとうございました。