訪問歯科衛生士が教える、入れ歯の正しいお手入れの仕方2ステップ
入れ歯の正しいお手入れの仕方を知らない患者さんって多いと思いませんか?
訪問歯科衛生士が教える、入れ歯の正しいお手入れの仕方2ステップ
訪問診療では入れ歯を扱うことがとても多くなります。
入れ歯の汚れを放置しておくと誤嚥性肺炎の原因にもなります!訪問診療中に私が気を付けていることなども書かせて頂いたので復讐がてらお読みくださぁい(^^)/
ステップ① 入れ歯はブラシで磨く
患者さんの中には、入れ歯って洗浄剤に浸けておけば綺麗になるんでしょ?て思ってる方いますよね?
入れ歯はハブラシか義歯用のハブラシを使って、汚れを落としてから洗浄剤に浸けることが大切です。歯科衛生士さんは常識ですよね。でも意外と一般の方は知らない人が多いので丁寧に説明する必要があります。
ステップ② 週に2~3回は入れ歯洗浄剤に浸ける
入れ歯はハブラシや義歯用ブラシを使って綺麗に汚れを落とした上で、週に2~3回洗浄剤につけましょう。
綺麗に保とうと毎日のように入れ歯を洗浄剤に浸けてしまうと、粘膜に炎症が起こることもあるので、週に2~3回が目安です。
入れ歯洗浄剤の種類?
酵素系
酵素の働きで食べカスや細菌などのタンパク質を分解して洗浄するタイプの入れ歯洗浄剤です。安全性は高いですが漂白作用ほほとんどありません。
次亜塩素酸系
最も殺菌力の強い洗浄剤です。漂白力もあるので着色もよく取れますが長時間にわたり浸けてしまうと入れ歯自体を傷める原因になります。浸ける時間を守りましょう。
過酸化物系
最も普及しているタイプの入れ歯洗浄剤です。殺菌力はあまり強力ではありませんが、安全性が高いです。泡の力で汚れや着色を取り除きます。
お手入れのチェックポイント
入れ歯の表面はヌルヌルしてませんか?
入れ歯の表面がヌルヌルしていると、カビが発生している事があります。
抵抗力の弱い高齢者などが汚い入れ歯を使用していると誤嚥性肺炎の原因になる事があります。入れ歯を手で触ってみて、入れ歯の表面がヌルヌルしている時はブラシでしっかり落としましょう!!
入れ歯に歯石(歯垢が固まって石みたいになったもの)がついてませんか?
入れ歯についた歯石は、どんなに歯ブラシで磨いても落ちません。歯石を取る洗浄剤に浸けても落ちない場合は歯医者さん取って貰いましょう。歯石も菌の塊なので長く付着している状態だと不衛生です。
全体的に歯茎は赤くなってませんか?
歯茎が赤くなっている場合、入れ歯を長時間装着し過ぎか入れ歯が強くあたっているか、口腔カンジタ症になっている可能性があります。口腔カンジタ症になると抗菌薬が必要になります。
夜は必ず外して寝て下さいと説明しましょう。
部分入れ歯の方は金具(クラスプ)はグラグラしてませんか?
部分入れ歯(PD)の方は金具はグラグラしてませんか?
高齢者施設では取れかけたり欠けている事がよくあります。日頃からチェックしていくようにしましょう。
金具(クラスプ)が取れて誤嚥してしまうと大変な事になります!取れかけてる場合は、早めの処置をして貰いましょう!!
部分入れ歯の方は残っている歯は綺麗に歯ブラシで磨けてますか?
残っている歯が磨けていないと歯の寿命が短くなります。抜歯になると口腔内の状態が変化し高齢者の食事量にも影響してきます。今の状態をできるだけ維持できるように、歯科衛生士の残存歯のケアは大切です。
入れ歯にヒビは入っていませんか?
入れ歯を透かしてみると、入れ歯にうっすらとヒビが入っている事があります。
ヒビが入っていると割れてくる可能性が高いので早めの修理をお勧めします。
入れ歯のお掃除中にあったエピソード
毎週、訪問させて頂いてる施設があります。何故かその施設の高齢者の入れ歯には沢山の歯石が付くんです。ドクターと一緒に考えましたが未だにわかりませんw
最初のうちはキュレットで除去したり、ドクターに研磨して貰ったりしてましたがキリがない(^^;)簡単に除去できる物はないか探していて歯石くりんに出会いました。施設の職員さんに歯石くりんをお渡しして2日程浸けて貰うように頼みました。
洗浄剤で歯石が取れるなんて”ありえない”と疑っていましたが、その方は綺麗に取れててビックリしました!!長い間歯石がついていた方や凄く古い入れ歯の方には効果が弱いかなと感じましたが、訪問歯科の歯科衛生士さんで義歯の歯石でお困りの方は使ってみる価値はあるかもしれません(^^)/
入れ歯のお手入れのまとめ
正しい入れ歯のお手入れと口腔ケアを継続し維持していくことで、患者さんのQOLが保たれ美味しく食事をとることもできます。高齢者にとって食事の楽しみはとても大切なことです。
今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。
是非、読者になって頂けると更新の励みになります。